つくり手
養紡屋

栄養価が高く、心と身体においしい"本物のはちみつ"を採蜜する、浜松市春野町で養蜂を営む「養紡屋(ようほうや)」をご紹介します。
代表の塩見 亮太(しおみりょうた)さん[1985年生まれ]
普段私たちが口にしている一般に流通しているハチミツの中には蜂蜜100%ではなく、異性化液糖や水飴などの糖類を加えた「加糖はちみつ」が多く存在しています。
近年の養蜂では生産性を重視することから、抗生物質を餌に混ぜて投与するケースも少なくありません。
抗生物質の残留したはちみつを人が摂取することで、抗生物質が人体に効かなくなるリスクもあります。
天然の花蜜からミツバチが作るはちみつは、ビタミン・ミネラル・酵素など栄養成分が豊富に含まれていますが、これらの栄養素は42℃以上に加熱すると破壊されてしまい、はちみつ本来の栄養を摂取することができなくなってしまいます。
「養紡屋」のはちみつは、非加熱での製造にこだわり、はちみつ本来の栄養素を身体に取り込むことを目的としています。
はちみつには野菜や果物と同じように、土地・季節・人…その時々の"味"が表れます。
豊かな自然の中で、今、その時にしかない味をお届けする、心と身体が喜ぶ、本当においしいはちみつを届けるために"つながりを紡ぎ養う"という想いを込めたのが「養紡屋」の由来です。
神奈川出身の塩見さんが養蜂業をはじめるきっかけになったのは、お酒造りに関心を持ったことからでした。
はちみつとお酒になんの関係があるの?と思われるかもしれませんが、実はお酒の原料は甘い「糖分」から出来ています。
もともと、何にでも「由来は?」と考えてしまうクセがあり、気になるとすぐに調べたくなったり、仮説を立てたりするのが好きな塩見さん。
25~26歳くらいからハチミツに興味を持ち始め、ミツバチを知るために大学の研究所、養蜂家、本の著者など思いつく方法を様々試し、蜂蜜と聞けば買いに行き、養蜂家と聞けば会いに行き、養蜂に関する本があれば著者に直談判して会いに行ったりとする日々。
そんな中、岐阜出身の移動養蜂家である師匠と出会い、北海道と岐阜を行き来しながら技術を学び、浜松で独立を果たしました。
養紡屋のこだわりを聞くと塩見さんはこう答えます。
「抗生物質不使用はこだわっていますね。
自分たちの世代で出来ることは抗生物質を使わない方法を確立していくことなんじゃないかなと思ってます。
僕は普通に食べてるハチミツが"良い物だった"ってだけで良いんですよ。
やれ生ハチミツだとか、非加熱ハチミツとかって言うんですけど、それって嫌なんですよね。
ハチミツでイイじゃんって思うんですよ。
生とか付けると付加価値が付くからとか言うけど、そもそも普通に採れるのがハチミツなので、今がおかしいんであって生とか付ける必要ないし、そういう物の見方をしたいんですよね。
消費者の人たちに生ハチミツとか言って、われ先に売ろうとするんじゃなくて、これがハチミツですよって。
今まではこういう歴史がありました、抗生物質とか入ってます、結晶させない為に加熱をしてますとか、それは大量消費社会で安く簡単にお金が稼げるようにって発想で生まれた技術と言って良いかわかんないですけど、そういうものがあったけどって過去形で。
だから普通にハチミツですよって言って売ってたいですね」
養蜂家さんの実際の声を文字に起こした取材記事はベジタブルジャーニー美土和